畠山教授に伺う「これからのウイルス対策」 | これからのウイルス対策 | 栃ナビ!
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これからのウイルス対策

「 これからのウイルス対策」

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2020年1月、日本で最初の感染者が報告されて以来、私たちの生活に大きな影響を与えてきた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」。4年が経った今、新型コロナウイルスに対策しながらの生活が日常になりつつあります。

ウイルスは新型コロナだけではありません。毎年流行を繰り返すインフルエンザはもちろん、普通の風邪、はしかや風しん、そして感染性胃腸炎を起こすノロウイルスなども含まれます。

このようなウイルスたちとどのように付き合っていくべきなのか、自治医科大学附属病院 感染症科 科長 畠山修司教授にお話を伺いました。

必然だった!インフルエンザの大流行

畠山教授「今、ちょうど栃木県ではインフルエンザも流行っていますよね。昨年の秋から初冬にかけて大きな流行があり、年が明けて今、再びピークを迎えています。昨年からずいぶん長く、大きな流行が続いているわけですが、実は、インフルエンザの蔓延は想定の範囲内とも言えるのです。

新型コロナのパンデミック以来、インフルエンザだけでなく、風邪や胃腸炎などの感染症も極端に減りました。これは新型コロナに対する感染対策が、似たような経路で感染する、別のさまざまな感染症にも有効だったからです。

この数年、インフルエンザにかかる人が少なかったことで、インフルエンザに対する免疫力が下がっていました。そこに、新型コロナが5類感染症に位置づけられ、感染対策が緩和されたことをきっかけとして、インフルエンザが大きく流行したと考えられます。」

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自治医科大学医学部の教授でもある畠山先生。

新型コロナとインフルエンザの見分け方

「新型コロナとインフルエンザは症状が似ていますが、それぞれの特徴もあります。新型コロナに特有なのは、喉の痛みが強いことや、味やにおいを感じなくなることがあること。インフルエンザは新型コロナと比べて潜伏期間が短く、また、ちょっと調子が変だと思ったら急に熱が上がることが多いです。とはいえ個人差が大きいため、見分けるのは非常に難しいと言えます。

今、薬局などに行くと「自己診断キット」が手に入ります。新型コロナとインフルエンザを同時に検査できるものもあります。こうしたキットを使って感染を確認し、自宅療養するなど、柔軟に対応していただければと思います。

ただ、高齢者、肥満症の方、基礎疾患をお持ちの方は、新型コロナが重症化する恐れがあるので、重症化する前に適切な診断と治療を受けることが大切です。そしてワクチンは、発症予防と重症化予防に一定の効果があるため、こうしたリスクの高い方は、積極的に接種しておくと良いと思います。これらは、インフルエンザでも同じことが言えます。」

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畠山先生を囲む、感染症科のスペシャリストたち。

ウイルスと上手に共存していく

「栃木県に来てびっくりしたのが、冬の気候の厳しさです。朝晩あるいは室内外の寒暖差や乾燥がひどく、実際冬場になると脳卒中や心筋梗塞を含め、患者さんがぐっと増える印象です。ヒートショックを含めて、ぜひ栃木県の皆さまには寒さ対策もしっかりしていただけたらと思います。

また感染対策については、新型コロナ対策を通してやってきたことを無理のない範囲で継続することです。新型コロナのパンデミックを乗り越えてきたことを思えば、ひとりひとりの地道な対策こそが効果的だとわかっていただけると思います。

新型コロナウイルスが急になくなることはなく、しばらくは夏と冬の流行を繰り返しながら、インフルエンザのように付き合っていくことになると思います。状況に応じた感染対策をすることで、上手に共存していく道を一緒に探ってまいりましょう。」

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感染症を専門とした診療科がある自治医大附属病院。

~基本的な感染対策~
【1】手洗い・手指衛生を心がける。
【2】状況に応じてマスクをする。
【3】換気をこころがける。
【4】人と人との間隔を空ける。
【5】咳をするときはハンカチ・袖などで覆う。
【6】無理に出勤・登校しない。

infomation

自治医科大学附属病院
〒329‐0498 栃木県下野市薬師寺3311‐1
0285‐44‐2111(代表)
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※掲載内容は取材時の情報です。