小山市
フォトフレームに鬼の爪があります。まんが日本昔話で放送されたお寺に伝わる民話です。村にたいそう欲の深い婆さんがおりました。村一番の大金持ちでお金に困った村人に高い利息で貸して益々お金を増やしておりました。その婆さんが年には勝てないで亡くなりました。葬式は円通寺の十五代住職の良信上人にお願いしました。葬式の前日に上人がお昼休みに居間でうたたねをなさっていると夢の中に鬼が現れ葬式に来ないで下さいと言いました。上人は何でもかんでも行くと言い目を覚ましました。葬式で上人の読経が終わり婆さんの棺が家を出ようとすると突然カミナリと嵐が起こり真っ赤に燃える火の玉が棺めがけて飛んできました。あまりの恐ろしさに人々は気を失ってしまいました。火の玉かと思われた光は火の車で中から大きな鬼がおどり出て棺を軽々とひっさらって天に飛び上がろうとするではありませんか。それをジッと静かに座って見ておられた上人は声高く念仏を唱えエイと大鬼をお打ちになりました。びっくりした大鬼は棺を取り落とし慌てて白雲に飛び乗り逃げ出しました。すると村人の一人が鋭い牙のようなものが落ちているのに気が付きました。それが鬼の爪で焼け焦げた上人の衣と共に今も円通寺のあけずの箱の中に大切にしまわれているというお話です。フォートフレーム上では鬼の爪が本堂を掴んでいるかのように見えます。本堂に上がると畳に小さな木魚が均等に並んでいて小坊主が座禅を組んでいる姿を想像しました。ニッコニッコ笑顔の和願地蔵のツルツル頭を優しくナデナデしてお参りしました。