小山市
平家杉(日光市天然記念物、とちぎ名木百選)の物語が伝わっております。段の浦の戦いで敗れ主流は滅亡し平家の残党は全国の辺地に源氏の追手を逃れ隠れ住みました。この上栗山の地に住み着いた一党もそうで畑を起こし狩りを業とし華やかだった昔日をしのび再びその日の蘇ることを望んでやみませんでした。その侘しい気持ちが平家一門の運命を一本の小さな杉の木に託せられることになります。「杉よ、再び平家の世とならば子を増やせ、さもなくば子を産むな」と暗示をかけられた小さな杉は年々成長し逞しく大きく育ちましたが平家の世は蘇ることはありませんでした。そして「さもなくば、子を産むな」とかけられた願いだけはむなしく叶えられ何度その実を地上に落としても小杉が生えることはありませんでした。「子無し杉」とも言われるゆえんです。老杉は枯葉が目立ち子供にも恵まれず先の不安が感じられますが集落のシンボルであり人々の生きがいであり郷愁をそそる存在であることは間違いありません。上栗山の平家落人伝説を語る上では外せない杉です。