とちぎは全国でも有数の産業が盛んな県で、県外にファンが大勢いる名物も数知れず!そこで「いいもの、たくさん!とちぎの◯◯ 誕生物語」と題して、とちぎの名品たちがどのような思いを込められて生まれたのか?気になるその誕生秘話をご紹介します。
工場からできたてのおいしさを届けるために。考え抜いた末にたどり着いた決断とは?
とちぎ発の良品をご紹介する第4回目は、ひざつき製菓が運営するだんご店「武平作」でいただける「田楽」です。ぶるるんっとした生地の中に、甘さ控えめで上品な味わいのこしあん。そこに冷たいみたらしをかけることで、夏にオススメの逸品となっています。もともと人気だった田楽を冷凍仕様にして販売したところ、これが好評なんだとか。そこに至った経緯や想いを、代表取締役社長の膝附 武男さんにお話をうかがいました。
田楽
歴史を積み重ねた自慢の味が、いつしか慢心に。大手の攻勢から得た気づき。
弊社は、祖父が米菓製造業を始めたことに始まります。かつて栃木市一帯には200ものせんべい製造所があったそうで、今でも栃木県民の購入が全国最多であることは、その歴史的背景もひとつにあるかもしれませんね。米菓製造の過程で団子が作られるので、2代目の父が栃木駅前にだんご屋を始めたところ、ロケーションのよさもあってずいぶん繁盛していたそうです。
おかげさまで私が社長になってからもたくさんのお客様にご愛顧いただいているわけですが、10年前に2年続けて武平作全店の販売が下がったことがありました。店頭の構成やスタッフの対応などに問題があるのではと考えがめぐったのですが、調べていくと和生菓子に力を入れ出したある大手さんにシェアを奪われていたんです。弊社としては毎日こだわりをもって作るだんごのおいしさを自負していたので、大手さんの攻勢は耳にしていたものの、影響を直接受けるまで気に留めていなかったことを反省しました。
工場と地元店舗があるからこそできる、お客さまへ独自のおもてなし。
それでも、歴史を積み重ねて地元に根ざした企業として、地域の皆様に武平作だんごの魅力をもっと知って楽しんでいただきたい。そしてこれから先もずっとだんごを作り続けていきたいという強い想いがあります。であれば、ここ栃木に店舗を持つ我々だからこそできることに焦点をあてて再起を図ることにしました。つまり、お客さまに店舗へおいでいただくことで、武平作のだんごのおいしさを伝えていくことにしたのです。
そのために取り組んだことは3つ。ひとつは、工場直送のおいしさを「できたてキッチン」として提供すること。2つ目は、素敵な時間を過ごすための場所を提供すること。これは、木々や芝生に囲まれ心地よい風がそよぐテラスを併設するここ栃木本店や小山店で具現化されています。そして3つ目は季節催事を実施して、古きも新しきも含めた生活の一部に根付く米菓文化を知り感じていただくこと。店頭で実施する新嘗祭やお琴の会、ハロウィンなどでお客様をおもてなしします。
いつでもどこでもおいしく味わってもらうために、思い切って決断した「田楽」の販売方法。
店頭での努力が実を結び、おかげさまで販売は回復しました。しかし我々は「正味のおいしさ」を届けることを追求しています。店舗ではできたてのだんごを提供できますが、お持ち帰りいただく場合には、時間がたつほどおいしさが落ちていきます。でも、武平作のカフェテラス以外のどんな場所にいようとも、目を瞑っていようとも、口に運んだ時においしいと感じていただくことが理想なのです。
そこで思いついたのが、すでに人気のあった「田楽」。だんごの中でも、ひんやりした冷たさを売りにした田楽だけは工場で製造されると、おいしさをぎゅっと閉じ込めるため、すぐに冷凍されます。店頭で出す前日に冷蔵庫に移してゆっくり自然解凍すれば、工場でのできたてのおいしさそのままに提供できるわけです。これなら、ご自宅でいつでも田楽の正味のおいしさを堪能いただけるぞ!というアイデアに至りました。そこで思い切って、冷凍した状態のまま田楽を販売してみたところ、お買い上げいただくお客さまがたくさんいらっしゃったのです!
田楽で「冷凍=できたてではない」概念を覆したい。さらに、ECを活かした「冷蔵」商品もお届け!
この好評を受け、もっと多くのお客さまに田楽のおいしさを届けられる!と手応えを感じました。そこで「つくりたてお届け便」としてこの6月に冷凍の田楽を販売するECサイトを立ち上げました。昨今多くの企業でEC通販の活用が見られますが、弊社はECありきではありません。あくまで「正味のおいしさ」をいつでもどこでも楽しんでいただきたいという想いが、たまたま時代に沿った形となりました。
一見、「冷凍は、できたてではない」と考えてしまいがちですが「冷凍だからこそできたてが味わえる」ということを、田楽という商品を通しいかに伝えていくかが今後の課題です。店頭でも冷凍の田楽を買っていただくことが習慣となっていくお客様がもっと増えれば、生菓子屋としての可能性が広がっていくのではないかと思っています。
また同時にECの利点を生かそうと、人気のあんみつと豆かんを「冷蔵」商品としてラインナップに加えました。コロナの影響でお盆に親戚宅へ訪ねられず「贈物として発送したい」と多くお客様からのご要望をいただいていましたので、それにお応えすべく冷蔵もECで扱うことにしたのです。
これからも一人でも多くの方に、我々が作るだんごをはじめとした和生菓子を楽しんでいただければ、こんなうれしいことはありません!
そのほかにも、オススメグルメ!
お店・スポット情報
[取材日:2021年06月]
クチコミ
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rusty-130さん
- (宇都宮市)
特集記事の社長さんへのインタビュ―記事を拝読し 未食の「田楽」をいただきたくて宇都宮若草店さんへ。こちらのお品物は以前から目にしていたのですが みたらしの冷たいバージョンと思い違いをしており手にする機会がありませんでしたがこし餡入りで販売時に工夫をされているという事。食してみると滑らかなこし餡(クリームのようですね)に通常のお団子よりも気持ち柔らかく仕上げてあり冷やしてつるんといただくときにちょうど良い食感で研究を重ねられたのかなーと感じました・当日サービスでいただいた「米の音」はクッキー生地の中から砕いたあられが現れるというサプライズなイッピンですがチーズのコクとあられの甘辛味が絶妙に混じりあいリピートしてみたい新食感☆以前は江曽島・簗瀬店と合わせて3店舗あった宇都宮市内の武平作さんですが若草店のみになり寂しく感じることもありましたが栃木市から遥々運んでいただいているおかげでお団子をはじめこだわりのお菓子をいただくことが叶っています。幅広い年齢層の方が足を運びやすい明るい店内は季節ごとに和菓子を楽しめるようお品揃えが充実しています。気になっている「時のテラス」さんにも是非伺おうと思います٩(ˊᗜˋ*)و (投稿:2021/07/09)
掲載:2021/07/12"ぐッ"ときた! 39人
※上記のクチコミは投稿当時の情報であるため、実際と異なる場合がございますのでご了承ください。
取材:2020年05月
※掲載内容は取材時の情報です。