「子育てハッピーアドバイザー」山本果奈さん×栃木県で活躍する子育てのスペシャリストによる対談。質問や取り上げて欲しい人募集中。プレゼントも♪
【vol.1】「大地の恵みのなーさりぃ」理事長 大塚 恵美子さん
「自由保育」が育む、子どもの“自己肯定感”
果奈 いよいよ完成間近ですね!「大地の恵みのなーさりぃ」は、鹿沼市初の公立保育園民営化事業の保育園なんですよね。
大塚 そうです。ここはいわば、私の仕事の集大成。28年間、保育業界で感じてきたいろんな想いを詰め込みました。
果奈 すごい!今回はぜひ、その想いをお聞かせください。
大塚 「自由保育」って、聞いたことがありますか?「自由保育」とは、みんなが一斉に同じ課題に取り組む保育ではないんです。次に何をするのか、子どもたち自身が考えて決めます。お外遊びが好きな子、ブロック遊びが好きな子、おままごとが好きな子、それぞれが興味関心のある遊びを自ら選択するのです。保育者は、その子たちを見守り、声をかけたり、少し手助けするだけなんです。
果奈 私も聞いたことがあります。でも、ただほったらかしてるわけじゃないんですよね。
大塚 そうなんです!よく「放任してるだけ?」と心配されますが、全く違います。保育の神様といわれている倉橋惣三先生やその愛弟子である堀合文子先生の教育理論のベースにもなっていて、実は主人が堀合先生から直接指導いただいたものなんです。
果奈 ご主人は、宇都宮市の学校法人自然保育学園「風と緑の認定こども園」理事長、そして全国で保育園などを運営する、キッズコーポレーションの経営をされているんですよね。
大塚 子どもといっても、一人ひとり個性も発達も大きく違います。その中で、もっと子ども一人ひとりに寄り添う保育はないのか?という答えを探していました。その頃、主人を通して「自由保育」という考え方に出会い、「私が探していたものはこれだ!」と確信したんです。
大塚 子どもたちが自分で何がしたいのかを考え、経験する。そのことが、自主性や創造性、自律性・社会性・好奇心などを、生み出します。また自分の意見を尊重されたと感じると、子どもの中に”自尊感情”が生まれます。自分が大事にされていると感じる子は、自分だけじゃなく、他の子も大事にするようになります。
果奈 まさに”自尊感情”=”自己肯定感”ですね!子どもが選んだものをそのまま認めてあげる。すると、子どもは「ありのままの自分を受け止めてもらえた」「自分は愛されるべき存在なんだ」と安心することができるんですね。「自由保育」は、子どもの自己肯定感を育むすばらしい教育法だと、私も確信しました。
教育のゴールは、『経済の自立』と『心の自立』
大塚 子育てのゴールのひとつに、『経済的な自立』があります。
果奈 親は先に死にますから、いつまでも面倒みてあげられませんもんね(笑)。
大塚 そうそう。でも『経済的な自立』と同じぐらい、『心の自立』も大切だと思ってるんです。心の自立とは、悲しいこと、つらいことがあったとき、自分の力で起き上がれるかどうかってこと。誰かのせいにして暴れたり、ふてくされて引きこもったりせず、きちんと受け止め、そして乗り越える力を持つことです。
果奈 いじめや引きこもりといった社会的問題が増えていますが、乗り越えられない=心の自立ができていない子が増えているってことですよね。
大塚 『心の自立』ができる子にするには、子ども時代が重要です。人生とは選択の連続。失敗だってもちろんあります。その練習を子どものうちに、たくさんさせてあげるんです。自分で考え、自分で出した答えを、自分で責任をもって受け止める練習です。
果奈 子どものうちは、心も柔軟ですもんね。失敗してもすぐ立ち直れる。でも大人になったら…
大塚 そう。大人になって失敗したら、この世の終わりみたいに感じちゃうはず。だから、小さな時から大人が決めるんじゃなく、子どもに選ばせてあげることが大切なんです。いい結果だったら一緒に喜び、悪い結果だったら「どうしたらよかったかな?」と一緒に考えてあげましょう。
大塚 東日本大震災のとき、「自分で考えられる子」に育てる大切さを改めて感じました。
果奈 誰かの指示がないと動けない子は、いざという時何もできない子になってしまいそうですね。
大塚 そう。自分で考え、行動する。失敗も「しかたがない」「次はこうしよう」と前向きに受け止めることができる。当たり前のことだけど、これをきちんと教えられるのが、「自由保育」なんです。私は、そんな心がしっかり自立したたくましい子を、たくさん育てていきたいと思っています。
ご自宅でもできる!「自由保育」のエッセンス
大塚 「大地の恵みのなーさりぃ」では、子どもたちが好きなものを見つけられるよう、ネイティブによる英会話、鹿沼市在住の画家の宮坂健先生による絵画指導、リトミック、書道、サッカー、ファーム体験など、いろんな選択肢を用意しているんです。
果奈 すっごくうらやましい!うちの子もここにいれ直したいくらい(笑)!せっかくなので、自宅で実践できる「自由保育」のエッセンスみたいなものを、教えていただけませんか?
大塚 もちろんです!まず、選択肢を用意してあげること。そして見守ること。わが子がかわいくないママはいません。だからついつい手や口を出し過ぎちゃうんです。子どもが自分で選ぶまで、じっと見守ってあげる。選択力、考える力は、生きる力になります。出した答えは、ママがケチをつけちゃダメ。失敗もどんどんさせてあげて。失敗を経験することが大切なんです。そして、たくさん認めてあげること。子どもの選んだもの、出した結果をそのまんま受け止め、ほめてあげてほしいです。そのことで、子どもたちは「これでいいんだ」と自信をもちます。
果奈 でもそういうことって、ママの心に余裕がないとできませんよね。だから、ママも自分のことをもっと認めてあげてほしいですね。ママってついつい自分を責めがちだから、自分のことも子どものことも「ま、いっか」と、おおらかに許してあげてほしいと思います。
大塚 ほんとにそうですね。一人ひとりが完璧じゃなくても、それぞれが得意なことを持ち寄れば、完璧になる。それが共生です。好きなこと、得意なことを見つけたら、失敗しながら上手になって、その好きなこと、得意なことを生かして、みんなで力を合わせることができたら、どんなに素晴らしい世界になるだろうとワクワクしています。ぜひママたちも、自分のお子さんの個性を信じて、どんどん伸ばしてあげてください。愛でいっぱいの子どもを育てれば、愛でいっぱいの世界になります。一緒にがんばりましょう。
※1)給仕する側が一段低くなっていて、園児の顔を見ながら作業できる給仕台。ピザ窯もあるので、園内の畑で採れた野菜をのせたピザを焼く予定。
※2)2歳・1歳児さんのお部屋専用の荷物受け渡し口。ママの姿をみて子どもが泣いたりしないよう、顔を見せずに受け取れる仕組み。抱っこしたまま受け取れる高さなど、すべてが考え尽くされています。
※3)園庭からは、大きな掃き出し窓を開けて、トイレに直接入れます。あえて勾配をつけた広い園庭には、シンボルツリーのとちのきや「いぬかい保育園」から移植した桜などの樹木、ビオトープなど、豊かな自然に触れられる仕掛けがされています。
★スペシャリストへのQ&A★
●「子どもを保育園に預けるとき泣かれると、そのあと罪悪感を感じてしまいます。」(編集スタッフ:たも)
大塚 お子さんを保育園に入れたママは、みんなが通る道ですよね(私もそうでした)。でも、あなたが罪悪感をもったままだと、お子さんが「自分はかわいそうな子なんだ」と感じてしまいます。それでいいでしょうか?ママが笑顔で「いってくるね!」と言えば、お子さんも自然と前向きに受け止めてくれるはず。ママ一人が無理をするのでなく、みんなで子育てをしているという気持ちで、保育園を信頼して預けてみてください。お子さんが小さいときは、ママ友をつくるいい時期。スタッフやママ友とコミュニケーションしながら、一緒に子育てを楽しんでいきましょう。
●「保育園選びに迷っています。いい保育園を見分けるポイントってありますか?」(編集スタッフ:のむ)
大塚 まずご家庭での子育ての方針を、改めて考えてみましょう。何を重要と考えているのかを、ご夫婦で話し合った上で、いくつか実際に見学に行ってみることです。できたら、少し遊ばせてもらえるといいと思います。公立の小学校へ進学するなら、近くの園を選ぶのがいいでしょう。ただ小さい時は、移動距離が負担になりがちなので、お家や職場からの距離も重要です。もし迷ったら、お子さんの意見を聞いてみるのもいいかもしれません。子どもの直感は意外と鋭いものですよ。
「★スペシャリストへのQ&A★」では、質問を募集しております。
6月号のスペシャリスト:「マドレボニータ栃木~栃木の産後ケア~」佐藤直子さん
≫メールはこちらへ(期限:2017年4月末日)
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「大地の恵みのなーさりぃ」理事長 大塚 恵美子
2017年4月鹿沼市にオープンした「大地の恵みのなーさりぃ」理事長、学校法人自然保育学園「風と緑の認定こども園」の理事も務める。2児の母。幼稚園教諭・保育士として、28年間の経験を活かし、キッズコーポレーションのファウンダー兼顧問として、全国120施設を越える病院内保育園、企業内保育園を運営する企業をまとめている。“キッズファースト”の理念の元、「子育てハッピーアドバイザー」の資格を取得するなど、教育・保育に関する知識を深める努力を続け、よりよい保育環境の整備に力を傾けている。
≫「大地の恵みのなーさりぃ」のFacebookページ
子育てハッピーアドバイザー 山本 果奈
15年間に亘る人事採用の仕事を通して、大人になってからぶつかる心の問題の深刻さに気付く。自身の子育て経験も重なり、人格形成における子育て時代の重要性を知り、幅広く知識を探求。現在、「アンガーマネジメント」や「子育てハッピーアドバイザー」の資格を獲得し、生きづらさの改善、自己肯定感の大切さを伝える活動をしている。
◇保有資格◇
アンガーマネジメントコンサルタント/アンガーマネジメントキッズインストラクタートレーナー/子育てHATマイスター/全米NLP協会認定マスター心理カウンセラー 他多数
◇研修、セミナー実績◇
茨城県教育委員会/富士ゼロックス株式会社/栃木県立野沢特別支援学校/栃木県立国分寺特別支援学校/栃木県老人保健施設協会/ネッツトヨタ栃木株式会社 他多数
≫「子育てハッピーアドバイザー」山本果奈のFacebookページ
取材:2017年03月
※掲載内容は取材時の情報です。