「子育てハッピーアドバイザー」山本果奈さん×栃木県で活躍する子育てのスペシャリストによる対談。スペシャリストによるプレゼントもお見逃しなく♪
【vol.22】光琳寺 副住職 井上 広法さん
子ども時代に養う、自分の人生を切り開く力
果奈 今日は「ぶっちゃけ寺」などテレビ番組でも大活躍でいらっしゃる、光琳寺副住職の井上広法さんに会いにきました!
副住職 境内の木々も、少しずつですが色づいてきましたね。ここはもみじ通りの西の端っこなので、もみじをもっと増やしたいなと思っているんです。
果奈 それは素敵な計画ですね!副住職ということは、後を継がれてお坊さんになったということでしょうか?
副住職 そうです。でも、「はい、わかりました」とすんなり後を継いだわけではなくて、紆余曲折があった末…ですが(笑)。
果奈 わ~興味津々です。詳しくお話いただけますか?
副住職 実はぼくは子どもの頃から、お坊さんにだけはなりたくないと思っていたんです(笑)。しかも、中学卒業後は進学する理由が見つからず、高校に行かなかったんです。昼に起きて夜までフラフラするといった、ニートのような日々を過ごしていました。
果奈 なんと破天荒なっ!親御さんはさぞかし驚かれたでしょう。
副住職 どうしようもない息子だから諦めていたのでしょうね(笑)。ただ人から言われてやるのと、自分で選んだ上でやるのでは、結果が180度変わってくるということに気がつきました。その後、2つの大学を卒業して、自分の意志でお坊さんになることを決め、親の後を継ぎました。自分で決めた道だからこそ、情熱やモチベーションが内側から湧いてくることを日々実感しています。
果奈 確かに、もし誰かに押し付けられた人生だとしたら、失敗したとき、押し付けた人のせいにしてしまうでしょう。でも自分が選んだ人生であれば、どこがダメだったんだろう、今度はこうしてみようと前向きに受け止められるはずです。
副住職 おっしゃる通りです。現代は自己選択ができる時代です。自分の人生を自分の選択で生きていると思うからこそ、その結果に責任を持てるんです。そこには、“自分で選んだ人生を生きる喜び” があります。ところが今、その喜びを知らない無気力な子どもが多く見られる気がします。生きる希望や生きがいがみえないと自己肯定感は低くなりますから、不登校やいじめといった問題につながると思います。
果奈 子どもの数は減っているのに、不登校やいじめの数は増え続け、過去最高の数だというニュースもありましたし、非常に深刻な問題ですよね。
副住職 今の学校は画一的な枠組みから外れることを許さない教育システムになっています。子どもには本来、自分で自分の好きなことを見つけ、熱中する力があります。それを学校や親が、こうしなさいああしなさいと横やりを入れて、中断させ諦めさせてしまう。そうすると、子どもたちが持っていたモチベーションは目減りする一方で、気が付いたら自分が何を好きか、どうして生きていっていいかわからなくさせてしまっている気がするんです。
果奈 実は私も、日本が他の先進国に比べて、子どもの自己肯定感が極端に低いのは、学校教育が原因なのではと感じていました。今の教育システムは戦後から全くアップデートされていません。子どもの個性や多様性を認めない価値観のまま、子どもの自己肯定感を高めるのは難しい と思います。
副住職 これは臨床心理学を学んだ僧侶としての見解ですが、子ども時代に自分らしく生きることを奪われた子どもたちが無気力な大人へと成長し、職場などの特定の場面のみにおいてうつ症状が出てくる「新型うつ」という病気を生み出したのではと考えています。子ども時代こそが、その後の人生を切り開く力が養われる大切なときです。学校の急激な変革が望めない今、せめて親御さんにはご理解いただき、子どもたちを深く優しいまなざしで見守っていただければと切に願います。
心理的安全性の高い仲間で子育てを!
副住職 うちの妻も子育て奮闘中ですが、現代の子育ては母親の負担がとても大きいと感じています。
果奈 夫が仕事で、親戚から離れて暮らしていたら、本当に頼る人がいないという話もよく聞きます。“ワンオペ育児”という言葉が流行語になるほど、育児の負担はママに集中していますね。
副住職 昔は隣近所というお付き合いもありましたが、今は少なくなっていますしね。実は、そういった祖父母や隣近所の人々が子育ての大きなクッションを果たしていたと、ぼくは思っています。子どもは母親ひとりで育てるのではなく、コミュニティで育むのが人間の育て方なのかもしれないと感じています。ただ、現代はそういった周囲の人との関係が逆にトラブルの原因になってしまうこともあるんですよね。
果奈 そうですね。”ママ友トラブル”なら、実は私も遭ったことがあります。でもそれは極一部の人で、たくさんの素敵なママ友に囲まれて、助け合いながら子育てをしています。
副住職 子育ては一人で抱え込むべきじゃない。でも悪口や攻撃されるかもしれない人の前では、安心して子育ての愚痴や悩みを吐き出すことなんてできませんよね。きっとますますストレスと孤独を感じてしまうでしょう。相手の反応にびくびくすることなく、自然体の自分を曝け出すことのできる環境や雰囲気のことを、心理学用語で“心理的安全性”というのですが、子育てにこそ、心理的安全性の高い仲間が必要だと思います。本当につながりの深いママ友などが必要になってくるのではないかと思います。
果奈 わかります。いくら一人で自己肯定感を高めたとしても、そのグループやコミュニティ全体で変わらないと限界があると感じていました。心理的安全性の高い仲間をつくるには具体的にどうしたらいいでしょうか?
副住職 そうですね。いくつかあると思いますが、いま現代を生きている全ての人におススメの方法があります。それは心のリテラシーを高めることです。つまり心の状態を自分自身で読み取る力を高めることです。『マインドフルネス瞑想』って耳にしたことはありますか?「グーグル」が社員の心のリテラシーを向上するために研修に取り入れたことから、世界中に広まっている話題の瞑想法です。自分自身を見つめて観察することで、さまざまな感情に巻き込まれずに、よい行動をとる確率を高めます。『マインドフルネス瞑想』とは、仏教にルーツがあり、さらには脳科学や心理学など科学的なエビデンスも認められている方法です。今の心を見つめることで気づきを高めようということなんです。
果奈 なんとなく聞いたことはありしたが、ちゃんとは知らなかったです。すごく興味が湧いてきました!
副住職 それでしたら、ぼくが『マインドフルネス瞑想』についてわかりやすく書いた本「心理学を学んだお坊さんの幸せに満たされる練習」がありますので、ぜひ読んでみてください。今回のプレゼントにもしようと思っております。この本には、マインドフルネスの他にも、コンパッション(思いやり)やグラティチュード(感謝)といった、最新の心理学の知見もわかりやすく解説してあります。こうした知識を社会全体で共有することで、心理的安全性の高いコミュニティは少しずつ作られていくものと思います。実は、「お坊さんのハピネストレーニング」というマインドフルネス瞑想のワークショップも開催しているのですが、開催地が主に東京の恵比寿なんです。少し遠いですよね。
果奈 それは是非栃木で開催したいですね!私たちにお手伝いさせてください。
副住職 そのときはぜひよろしくお願いいたします。一人ひとりのが自分のことをちゃんと見つめられたとき、その社会はぐんと暮らしやすく優しいものになるでしょう。ぼくも微力ならがもその助けになればという想いで、日々様々な活動をしております。気になった方はぜひ、六道にある光琳寺に遊びにきてください!
※1)煌びやかなで厳かなご本尊の前で。「うちのご本尊、映えますよ」とおちゃめな副住職。
※2)お話上手な副住職のおかげで、笑いの絶えない楽しい対談でした。
Recommended Spots & Shops in Tochigi
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Favorite Sites & Apprications
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浄土宗 光琳寺 副住職 井上 広法
1979年宇都宮市生まれ。浄土宗光琳寺(栃木県宇都宮市)副住職、一男一女の父。佛教大学で浄土学を専攻後、東京学芸大学で臨床心理学を専攻。グリーフケアの観点から「遺族における法事の心理的役割の検討」を執筆。東日本大震災を契機に、お坊さんが答えるQ&Aサービス「hasunoha」を立ち上げる。ポジティブ心理学の知見を参考にしたワークショップ「お坊さんのハピネス・トレーニング」毎月開催(寺子屋ブッダ)。「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日系)をはじめ、テレビやラジオにも多数出演中。
「cocokuri」チーフプロデューサー
「一般社団法人寺子屋ブッダ」理事
「hasunoha」共同代表
≫Facebook:井上広法
≫Instagram:inoue kobo
≫Facebookページ:浄土宗 光琳寺 【六道の光琳寺】
子育てハッピーアドバイザー 山本 果奈
15年間に亘る人事採用の仕事を通して、大人になってからぶつかる心の問題の深刻さに気付く。自身の子育て経験も重なり、人格形成における子育て時代の重要性を知り、幅広く知識を探求。現在、「アンガーマネジメント」や「子育てハッピーアドバイザー」の資格を獲得し、生きづらさの改善、自己肯定感の大切さを伝える活動をしている。
◇保有資格◇
アンガーマネジメントコンサルタント/アンガーマネジメント キッズインストラクタートレーナー/子育てHATマイスター/全米NLP協会認定マスター心理カウンセラー 他多数
◇研修、セミナー実績◇
茨城県教育委員会/富士ゼロックス株式会社/栃木県立のざわ特別支援学校/栃木県立国分寺特別支援学校/一般社団法人栃木県老人保健施設協会/ネッツトヨタ栃木株式会社 他多数
≫Facebookページ:「子育てハッピーアドバイザー」山本果奈
取材:2018年10月
※掲載内容は取材時の情報です。